東京からIターン後、独立就農-屋敷さん
【新規就農者インタビュー】
屋敷和宜さん(44歳)
〈中土佐町で施設ニラ栽培〉
農業始めるのは起業するのと同じ
東京の映像会社で映像編集などの仕事をしていました。将来性に不安を感じて転職を考えるようになり、同時に家族と一緒に環境の良いところで暮らしたいという思いもありました。
田舎へ移住したうえで自分でやれる仕事として、農業が候補に上がりました。移住と就農を検討するに当たり、暖かい地域で農地が取得しやすそうなこと、研修の体制が整っていることを条件にしました。新・農業人フェアなどへ足を運んで情報収集したところ、その条件を満たしていたのが高知県でした。
高知への移住と就農の方向性が決まったら、資金の計画を立てたり、実際に就農した方に話を聞いたりして、約6年をかけて準備を進めました。準備期間が長いですねと言われることがありますが、起業するのと同じですから、妥当な期間だと思っています。
まずは自分を試すことから
最初の研修は10 ヶ月間、四万十町にある農大研修課(現・高知県立農業担い手育成センター)へ入校しました。東京では車も乗ることがなかったので、
トラクターの乗り方やメンテナンスの仕方も、この研修の中で習得しました。
テレビなどを見て農業に憧れる人もいると思いますが、「こんなはずじゃなかった」とならないためにも、研修で自分を試してみるのが良いと思います。
生活スタイルに合った品目で就農
研修中に色々な野菜の栽培を実践してみて、ニラなら段取りさえしっかりできれば、週に1回休みが取れて、子どもの行事にも参加できると思い、就農の品目に決めました。そして家族と中土佐町へ移住。さらに農家さんのもとで2年間、研修を受けました。
町役場などの関係機関の支援もあり、研修終了後は中古ハウスを購入して、スムーズに就農することができました。
農業の大変なところは、労働時間の割に所得が低いことです。私はそれをカバーするため、ハウスの整備や補修もできる限り自分で行うなど、コストを抑えるよう努めました。最初から設備の整ったハウスを建てる人もいますが、これから農業を始める人は、資金ショートしないだけの体力があるのか、よく検討してみてください。有利な資金もありますが、返さなくてはいけないということも忘れずに。
家族と始めた高知での暮らし
妻と子どもは、移住と就農について、特に反対もせずついて来てくれました。移住して3年半経ちましたが、生活では特に不便は感じていません。
今年からは妻も農業を手伝ってくれています。子どもも元気に学校に通っていますよ。強いて言えば、高知の方言に慣れるのには少し時間がかかったようです(笑)。